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葵法律事務所

医療事件や医療が絡む交通事故で、最近しばしば出くわす疾病が、「高次脳機能障害」と「CRPS」です。
いずれも、事故の後遺症の疾病としては比較的新しい概念ですが、事件として関わってみると、共通する難しさもあるので、あわせてご紹介してみたいと思います。

まず、「高次脳機能障害」は、脳に損傷を受けた時に現れることがある疾病ですが、明確に後遺症として位置づけられるようになったのは、2000年代に入ってからとわりと最近のこととなります。
「高次脳機能障害」の場合、損傷を受けた脳の部位によって、さまざまな症状があらわれます。
代表的な症状としては、記憶障害、注意障害、行動障害、失語症といったようなものが挙げられます。
実は、事故に遭った本人はまったく変化に気付かないということがあるのですが、周囲の方から見て、事故の前後で明らかに様子が違っていると感じるようでしたら、「高次脳機能障害」を疑って、この疾病に詳しい専門医の診察を受けるように勧めてあげるとよいと思います。
実際に扱った事件でも、やはりご本人には病識がなくて、一方、周りの家族は、そうした様子の変化に気づいておられました。
ところで、医療事故であれ、交通事故であれ、過失や因果関係は別にして、最も重要なポイントは、「高次脳機能障害」の診断を受けられるかどうかです。
「高次脳機能障害」については、MRI、CT等の画像診断、脳波の検査などによる他覚的所見と、それとは別の上記の症状を確認するための検査を組み合わせて診断してもらうのが一般的です。
ただ、こうした検査をできる医療機関は限られていますので、どのような医療機関にかかるかがとても重要となります。
「高次脳機能障害」は、認められれば、後遺症等級で9級以上が認定されますので、賠償額もかなり高額なものとなります。
こうした診断に慣れてない医師もおりますので、心当たりがあるようでしたら、「高次脳機能障害」の可能性を考えて、医師なり弁護士なりに相談してみてください。

もう一つ、やはり最近わりと多く扱っているのが、「CRPS」を発症した事件です。
「CRPS」とは、日本語では、複合性局所疼痛症候群という覚えにくい名称になりますので、ここでは「CRPS」と表記します。
「CRPS」には、大きく分けて、2つのtypeがあり、type1と呼ばれるものの中に、「RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)」という疾病があり、type2と呼ばれるものの中に「カウザルギー」という疾病があります。
ちなみに、「カウザルギー」は、灼熱痛という意味です。
「CRPS」も、「高次脳機能障害」と同様、比較的新しい病名で、これまで、「RSD」「カウザルギー」と呼ばれていたものを統合した病名ということになります。
一般的には、type1である「RSD」は神経損傷を伴わないもの、type2である「カウザルギー」は神経損傷を伴うものとされていますが、神経損傷の有無がはっきりしない場合に、とりあえず「RSD」と診断する医師もおられるようで、いろんな医師の方に話を聞いてみると、この医療用語の使い分けはかなりあいまいなところがあるように感じます。
医学的には、外傷を機転として、交感神経反射によって、血管が収縮するのですが、時に交感神経反射が消失せず、そのために、血管の収縮状態も継続し、外傷よりも末梢の部位に灼熱痛、腫脹、関節拘縮、皮膚の変化等の症状が現れるというもので、重篤化することもあります。
もっとも、「CRPS」の中には他覚所見に乏しい症例もあるので、後遺症として認定してもらうためには、痛み、しびれという自覚症状以外の、他覚的な所見を丁寧に拾い上げて行くことが肝要となります。
治療が長引くこともありますので、主治医に対しては、気になる症状をその都度説明し、把握してもらい、浮腫、皮膚の温度差、萎縮、関節拘縮といった所見の有無をチェックして、その結果をできるだけカルテに記載してもらうようにしてください。
カルテにそうした他覚的所見が記載されているかどうかが判断の分かれ目になることが十分にあり得るからです。

「高次脳機能障害」や「CRPS」といった症例を扱っていて思うことですが、これらの疾病が後遺症として認定されるためには、医学的な病気のメカニズムを理解することはもちろんですが、後遺症認定のための実務的な決め事、仕組みといったことをしっかり把握しておくこともまたとても重要なことだということを実感します。
弁護士も日々勉強です。

2017年07月07日 > トピックス, 医療事件日記
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