事務所トピックス
葵法律事務所

最近、自己破産に関するニュース報道をいくつか目にしました。
自己破産事件は、私たちのような「街弁」にとっては、日常的に身近で関わりのある領域ですので、ニュース報道を見て感じたことを述べてみたいと思います。

まず、昨年の自己破産申立件数が、前年に比べ6・4%増加し、7万件弱になったというニュースから取り上げてみます。
前年も微増していますので、増加傾向を示していることになります。
そのことについて、「バブル崩壊後のピーク時に比べると件数としては全然少ないから、あまり大騒ぎするようなことではない」という論評もありましたが、このような楽観的な論評は、現状を正確に理解していないものと考えます。
バブル崩壊後のピーク時と現在の状況は、破産に至らざるを得ない背景や負債の実態が全く異なるからです。
たとえば、バブル崩壊後、自己破産申立事件が多かったのは、バブル崩壊による失業、財産の目減り、銀行の貸し出し金利が非常に高かったこと、とりわけサラ金の金利が利息制限法の上限金利よりかなり高かったことなどの事情が複合的に絡んでいます。
しかし、現在の状況を見ると、たとえば、バブル崩壊後のような極端な財産の目減りという事情はありませんし、負債という点で見ても、住宅ローンなどの貸し出し金利は超低金利、サラ金の金利も利息制限法の上限金利に抑えられ、総量規制もありますので、一見すると、かつてのように借金があっという間に雪だるま式に膨れ上がるという状況ではなくなっています。
実際、バブル期に不動産を購入して、以後ずっと真面目にローンを返し続けても、10%を超える高金利だったため、元本はあまり減っておらず、不動産の方は価値が極端に目減りして破産に追い込まれるというパターンが非常に多かったのですが、現在の状況にはこれはまったくあてはまりません。

超低金利となり、サラ金の貸し出し利息も大きく下がっているにもかかわらず、破産に追い込まれてしまう事情が何かといえば、個別の要素はあるにせよ、やはり収入の不安定さ、そして、たとえば、正社員であっても実質収入が年々減少していて、生活を維持できるほどの収入が得られないといった、より深刻な要因がかなりを占めていると感じます。
株価も上昇し、大企業の内部留保も桁違いに膨れ上がるなど、一部には景気のいい話も聞かれてはいますが、国民の間の経済格差は広がっており、生活保護受給者も増大の一途をたどっています。
社会政策的に見ても、戦後の高度成長期も含め、日本は低賃金構造であると言われ続けて来ましたが、特に最近の日本は、垂直的な所得の再分配が健全に機能しておらず、非正規雇用、現業派遣といった調整弁的雇用が企業側に都合よく利用されていて、詰まるところ、日本の低賃金構造は、より悪い方向で定着してしまっていると感じざるを得ません。
そうした日本の経済構造のいびつさが、一般国民の生活を蝕んでおり、その結果が、破産申立件数の増加という事態を招いていることは明白だと思います。
実際に私たちが扱う破産事件においても、実感としては、生活保護を受けている方の比率は間違いなく非常に高くなっています。
正確な統計は承知していませんが、おそらく、統計上も破産事件に占める生活保護受給者の割合もその人数もここに来て大幅に増えているのではないかと思います。
そのような実態や原因をきちんと分析して、世の中の仕組みを大きく変えて行かなければ、多くの国民の生活はますます疲弊し、破産申立件数も生活保護受給者も増加の一途をたどるのではないかと暗澹たる気持ちになります。

自己破産に関しては、ほかにいくつか気になる報道もあり、ここで取り上げるつもりでしたが、長くなりましたので、続きはまた書きたいと思います。

2018年02月18日 > トピックス, 日々雑感
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