事務所トピックス
葵法律事務所

前にもちょっと書いたことがありますが、医療系の事件を数多く扱っていると、ほかの弁護士さんからの相談を受けたりすることがしばしばあります。
私たち自身も経験がありますが、医療系の事件では、どうしても機序や過失の評価を検討する場面で医学的な難問にぶつかったり、問題点はわかっているのにその問題について適切な助言をもらえる協力医がなかなか見つからないなど、難しい状況に陥るということが少なからずあるからです。
実際には医療事件だけでなく、たとえば、交通事故における障害の評価や因果関係の問題といった場面でも医学的な検討が必要になるといったこともあります。
そんなわけで、そうした医療が関わる事件におけるセカンドオピニオンのことをちょっと書いてみたいと思います。

医療系の事件の大変さの一つは、医学の森の奥深さというか、真相に辿りつき、解決に至るまでの道のりで、幾度も幾度も、医学的な難問にぶち当たり、行き詰ってしまうという局面に出くわすということです。
当事務所では、原則として医療事件を複数受任とする主たる理由はそこにあります。
局面打開のためには、議論して知恵を出し合うことが必要だからです。
また、通常事件では、生の事実を把握すれば、それに対する法的評価を加えて行けばいいのですが(それでも判例や法解釈の検証が必要であり、簡単な事案ばかりではありませんが)、特に医療事件の場合、生の事実から医学的な事実(機序)を明らかにしていくことが必要なため、実際には、ミスの有無より前に、この医学的事実を解明していく場面での医学的な検討が最も大変な作業になります。
たとえば、お腹が痛いとか発熱があるといった生の症状だけでは、何に起因しているかは直ちに判断できません。
X線やCTなどの画像についてもそうですし、白血球などの検査所見も同様です。
また、原因疾患がある程度特定されても、必ずしも、典型的な症状が現れないこともあり、そうした典型的なケースとの「ずれ」をどう見るのか、矛盾なく説明できるかといったことも検証しなくてはなりません(実際、訴訟になると、医療側がそうした「ずれ」を指摘して、医学論争に持ち込まれることもあります)。
とにかく、個々の症例において、医学的な意味でいったい何が起きていたのか、結果に至るまでにどのようなプロセスをたどったのかを明らかにして行くことが大変なのです。
もちろん、過失や因果関係についても、同様に医学的な知見に基づく検討が必要となりますので、一山超えてもその先にいくつもの山が立ちはだかっているという気分になることは少なくありません。
そんなわけで、ある程度経験を積んでいても、医療系の事件は奥深く、本当に難しいと感じます。

さらに、手続的な局面局面での対応の難しさも、通常の民事事件とは異なるところがあります。
たとえば、カルテの証拠保全であるとか、鑑定意見書の作成の手順、協力医に確認すべきポイントのまとめ方、提訴後も、診療経過一覧表の作成方法、医療側の争い方に対する対峙方法、裁判所の訴訟指揮に対する向き合い方等、医療事件ならではの難しさがあります。
失礼な言い方かもしれませんが、裁判官が医療事件の扱い方を理解していないと感じることも少なくないし、手続の進め方においては、通常事件以上に緊張感を持って臨まないといけない場面に幾度も出くわすのです。
実際、カルテの証拠保全で裁判官とバトルになることはしょっちゅうです。
また、最近でも、ある裁判で医療側が明らかにおかしな診療経過一覧表を作ってくるので、「やり方が間違っている。それでは診療経過一覧表作成の目的にそぐわない」と何度も指摘したのですが、裁判官がまったく反応してくれないということがありました。
ところが、裁判官が交代したら、新しい裁判官は手続をよく理解していて、医療側にその点を指摘し、作成方法を改めるように指示してくれました。
とにかく、手続の各場面でどのように対処すべきかということで悩む頻度が高いのも医療事件の特徴の一つであるといえます。

ですので、もし、この記事を読んだ方で、事案の調査検討や手続のことで行き詰ったり悩んだりされている方がおられましたら、医療事件の経験豊富な弁護士への相談をすることをお勧めしますし、もし心当たりがないようでしたら遠慮なく当事務所までご相談ください。
遠方の方の場合、どのような形で助言ができるかということはありますが、微力ながらお力になれればと思っております。

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