事務所トピックス
弁護士 折本 和司

「半沢直樹」の心に沁みた言葉たちの「最終回」です。

前の2回と併せて、合計3つを取り上げるわけですが、「心に残った言葉」という視点であれば、いくらでもあるというか、面白かったり至極名言だと思えたりするような言葉は溢れ返っており、言葉という点だけでも「宝箱」のような作品でした

「感謝と恩返し」「施されたら施し返す。恩返しです」「おしまいDEATH」「おかげでファイト満々よ!」「記憶にないは国会でしか通用しません」など、脳裏に刻み込まれた言葉は拾い上げたらきりがないくらいです。

もちろん、原作からそのまま使われたものもあれば、脚本で加えられたもの、さらには現場で俳優の方たちがアドリブで付け加えたものもあったそうですので、その意味でも、原作者、監督、脚本家、プロデューサー、俳優の人たちの総力が結集され、化学反応を起こしてできた奇跡のようなドラマだったといっても過言ではないでしょう。

 

そんな中で、今回取り上げる「心に沁みた言葉」は、何といっても第10話、最終回のクライマックスシーンにおける半沢直樹の、魂の叫びともいえるようなあの言葉たちです。

最終回、半沢直樹は、簑部幹事長が設定し、テレビで実況中継され、大勢の記者が待ち構える場所に中野渡頭取に代わって赴きます。

そして、債権放棄の要請を拒否すると伝え、それに引き続いて、簑部幹事長の不正な錬金術を暴くのですが、その場から逃げようとする簑部幹事長を白井大臣が引き留めたところでその言葉は放たれます。

「政治家の仕事とは人々がより豊かに、より幸せになるよう政策を考えることのはずです」「今、この国は大きな危機に見舞われています。航空業界だけでなく、ありとあらゆる業界が厳しい不況に苦しんでいる。それでも人々は必死に今を耐え忍び、苦難に負けまいと歯を食いしばり、懸命に日々を過ごしているんです。それは、いつかきっとこの国にまた誰もが笑顔になれるような明るい未来が来るはずだと信じてるからだ」「そんな国民に寄り添い、支え、力になるのがあなた方政治家の務めでしょう」「あなたはその使命を忘れ、国民から目をそらし、自分の利益だけをみつめてきた」「謝ってください。この国で懸命に生きるすべての人に。心の底から詫びてください」

 

リアルタイムで視聴しながら、これは本当にすごい言葉だと感じました。

もちろん、半沢直樹のこの発言は直接には本作のラスボスである簑部幹事長に対するものですが、同時にそれは、今まさにコロナ禍で苦しみながら必死でそれを乗り切ろうとしている私たち国民の状況を目の当たりにしながら、およそ国民に寄り添った政治に取り組もうとしない今の腐りきった政治家たちに向けて、その姿勢を痛烈に批判する強烈なメッセージとなっていたからです。

 

正直、このドラマを見始めた時、7年間の空白により時代背景が少しずれてしまっているので今の時代にフィットするのだろうかという一抹の不安がありましたが、観ている内にその不安はものの見事に吹き飛びました。

しかし、この最終回のこの場面を観た時には、それどころか、このドラマは、まさに今の日本国民、日本の政治家たちに向けて作られたものだし、ここで放たれたメッセージはその集大成であると感じ、強い感銘を受けました。

 

半沢のセリフの内容を順にじっくり見て行くとその素晴らしさがわかります。

「今、この国は大きな危機に見舞われています。・・・ありとあらゆる業界が厳しい不況に苦しんでいる」とは、明らかに長引くコロナ禍で苦しむ今の日本の現状を念頭に置いたものでしょう。

続く「それでも人々は必死に今を耐え忍び、苦難に負けまいと歯を食いしばり、懸命に日々を過ごしているんです。それは、いつかきっとこの国にまた誰もが笑顔になれるような明るい未来が来るはずだと信じてるからだ」も同様で、それは紛れもなく今のコロナ禍で明日が見えない嵐の中で、必死に頑張っている人たちを励まし、鼓舞するメッセージとなっています。

 

そこから、半沢の言葉は為政者に向けられます。

「そんな国民に寄り添い、支え、力になるのがあなた方政治家の務めでしょう」「あなたはその使命を忘れ、国民から目をそらし、自分の利益だけをみつめてきた」は、今の政治家たちに対する、よりリアルで強烈な批判となっています。

翻って現実を見れば、この国で懸命に生きる人たちを守るために誰よりも額に汗しなければならないはずの政治家たちはいったい何をやっているのでしょうか。

政治のトップにいる人間が、政治を私物化し、国の行事を選挙のために利用し、お友達のために不可解な国有地の払い下げや学部の設立に手を貸したりとか、コロナ対策で意味不明のマスクを怪しげな選考経過で実績のない業者に発注したりとか、コロナ対策事業をおかしな法人を介して電通あたりに丸投げしたりする様は、まさに半沢直樹が指摘する「使命を忘れ、国民から目をそらし、自分の利益だけをみつめる」ものとしか見えません。

ほかにも、金で買ったとの疑惑もあるオリンピックやJR東海や土建屋のためとしか見えないリニア新幹線に膨大な国費をつぎ込み、さらにはカジノというギャンブル事業に入れ込む様は、もはや骨の髄まで・・・なのではないかと絶望的な気持ちになります。

また、本来、政治家とは一線を画すべき立場にあるはずの官僚たちも、その大部分は政治家の言いなりとなり、それに歯向かう勇気さえ失っているようです(ここでも「黒崎を見習え!」と声を大にして言いたいところです)。

実際、総理大臣の不正が疑われる事件で公文書の改ざんを指示し、部下を自殺に追い込んだ恥知らずな官僚や、総理大臣に近い人間の犯罪容疑で裁判所が発した逮捕状を執行しなかった腐った警察官僚が、ぬくぬくと出世しています。

ついでにいえば、安倍政権から菅政権に代わっても、その政権の本質は変わっていないと断言しておきます。

安倍政権下で起きた数々の不正に関する疑惑が解明に向かう気配はなく、また、菅政権では官僚に対する支配をさらに強めようとしているように見えるからです。

本の表紙を変えても、中身が変わらなければ意味がないのに、こんな目くらましでいとも簡単に支持率が大きく上昇することには強烈な違和感があります。

 

話が少し逸れましたが、半沢直樹の言葉は、まさにそういう政治家を断罪し、心ある政治家、あるいはそれを志そうとする人たちに勇気を与えるものです。

ドラマの最後で、白井大臣が幹事長に反旗を翻し、無所属でやり直そうとする様がさわやかに描かれていましたが、そのような覚悟を持った政治家が多数派になれば、間違いなく未来は明るいものになるのだと信じます。

逆に、無所属となった白井大臣が孤立し、簑部幹事長の同類が国政を牛耳り、利権をむさぼるという状況が、衣替えをしただけで続くようであれば、未来も暗く腐ったものに違いありません。

そう考えると、半沢直樹の言葉は、国民の不満や日ごろ感じているうっ憤を晴らすためなんかではなく、このドラマを見たひとりひとりの国民が、今の政治を変えるべく、自身の意識を変え、行動することを強く促すもので、私たち視聴者に向けられたもののように思えます。

おそらく、このドラマは録画され、またいずれDVDが発売、レンタルされることから、今後も長く多くの人が繰り返し視聴することになるでしょうが、半沢直樹の言葉に何かを感じた人たちが、この国の未来を良い方向に変える力を得るための起爆剤になるのではないかとさえ期待してしまいます。

 

こうやって振り返ってみても、このドラマには至言といえるような言葉が煌めいています。

このような作品を生み出してくださった原作者、プロデューサー、脚本家、監督、そして堺雅人をはじめとする俳優の方々に心から感謝したいと思います。

2020年10月11日 > トピックス, 日々雑感
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