事務所トピックス
弁護士 折本 和司

 

いったい、今の自公政権はコロナ禍で苦しむ国民のことをどう思っているのか、本当に疑問だし、憤懣やるかたない気持ちになります。

東京や大阪などに3度目の緊急事態宣言が出ました。

ゴールデンウイークを直撃するものですし、日本の二大都市圏を狙い撃ちにするわけですから、国民の生活に重大な影響が生じることは避けられません。

という以上に、地道に生活している人たちにとって、生活の基盤を奪われ、生死にすら直結しかねないわけで、その状況を思うと胸が苦しくなります。

すでに、私たちの職場である横浜関内近辺でも飲食店を中心に閉店を余儀なくされた方々が大勢おられます。

対策の遅れ、混乱は、もはや一刻も許されないはずなのに、いったい、この国の政府は何を考えているのでしょうか。

実際、今回の緊急事態宣言はもう結果が見えていると思います。

宣言からしばらく経った時点では多少減少するかもしれませんが、緊急事態打ち切りでそこからほどなくすれば再び感染者数は増大するでしょう。

要はそんなことの繰り返しなのです。

そんな中途半端な効果しか見込めないのに、かき入れ時のゴールデンウイークにかけて宣言を出されれば、観光やレジャー、飲食、ショッピングなどを中心に、幅広い業種にダメージを与え、さらにはそれぞれの業種で働き、生計を得ている多くの国民の収入源を奪う結果となるのです(あくまで自粛「要請」ですので、それに見合う補償もありません・・・ここが本当にずるいのです)。

 

大多数の国民は、これまでずっと国の政策に疑問を感じながらもその要請に従って歯を食いしばって政府の要請に従って協力して来たにもかかわらず、政府は相変わらず小手先の対応に終始し、コロナ終息のための有効な手立てを見いだせないでいます(なのに、オリンピックだけは、すっとぼけて開催すると断言し続けています)。

今回の緊急事態宣言に至っては、1月に緊急事態宣言、3月にどこが違うかよくわからない「まん延防止措置」に切り替えて、舌の根も乾かないうちに、大々的に宣伝した「まんぼう」の結果の検証すらないまま、よりにもよって、ゴールデンウイークにぶつける形で慌しく発令されたわけで、今の自公政権の混乱ぶりは目に余ります。

というわけで、執るべきコロナ対策のことなどについてもう一度書いてみます。

 

約1年前の記事でも「政府がこのまま中途半端な政策を続けると、だらだらと感染が長引き、かえって日本経済や国民生活が重大なダメージを受けることになる」と書きましたが、まさにそのとおりの事態になっていると実感します。

日本は極東の島国であり、地続きのヨーロッパ諸国や広大な国土を持つアメリカ、ブラジル、インド等と異なり、コロナ感染の拡大が抑えやすいという地政学的な有利さがあるわけで、比較的感染者数が少ないのは、そうしたことの恩恵という面があります(それと日本人の真面目さ、勤勉さも影響しているのかもしれません)。

にもかかわらず、未だに感染がなかなか収まらず感染が再々拡大の様相を示している状況は、一言でいえば政府の無策によるものというほかなく、ここに来ての感染拡大は天災ではなく、もはや人災と断言してもよいでしょう(東京都知事、大阪府知事などがやっていることも五十歩百歩ですが)。

 

これも前に書いたことですが、コロナ感染を終息に向かわせるためには、検査の徹底か1か月程度の徹底したロックダウンに踏み切るしかないと思います(ほかにも消費税ゼロ、公平な収入補償など併用すべき政策がありますが)。

しかし、今の自公政権が打ち出している政策はあまりに中途半端であり、大都市部を中心に一定以上の感染者いる現状において、今のやり方で感染を封じ込めることはおよそ不可能です。

多くの国民が、緊急事態宣言に従わなくなりつつあるのは、自粛疲れということもあるでしょうが、真面目に自粛しても感染が収まらないであろうと多くの国民が感じていることが大きいのではないでしょうか。

実際、緊急事態宣言がいかに的外れなものであるかは、現実に歓楽街、オフィス街が混在する関内あたりで生息しているとよくわかります。

たとえば、飲食店ですが、緊急事態宣言下で午後8時に閉まるとなると、午後6時ころからは店は非常に混みあいます(逆に、時短要請に従わないところは、午後8時以降に混み混みとなっているようでした)。

電車も普段と異なり、午後8時すぎまでが非常に混雑しますし、スーパーなども早くに閉まってしまうため、早い時間帯から混みあっています。

つまり、皮肉なことに、緊急事態宣言によってかえって「密」が作り出されているわけです。

さらに問題なのは、いびつに金をばらまいてまで実施した時短要請にどの程度の効果があったかが疑わしいということです。

最近目にしたある統計において、一般の飲食店での飲食は主要な感染ルートではないという結果が指摘されていました。

確かに、飲食店はもしクラスターになれば商売自体できなくなるので、多くの店が感染対策には気を配っていますし、客もエチケットとして、マスクや消毒、距離を保ち、大声で話さない等、気をつけていますから、一般の飲食店に対する時短要請は感染の抑制という点ではたいした効果がないという意見には十分に首肯できるところがあります(今年1月の時短要請で感染者が減ったのは、一般的な飲食店ではなく、濃厚接触を基本とする性風俗系の飲食店の多くが休業したことが大きかったと見ても矛盾しません)。

にもかかわらず、政府や東京都知事などは、相変わらず、飲食店での飲食が諸悪の根源であるがごとき発言を繰り返し、緊急事態宣言下で、飲食店の時短の要請に加え、ここに来て酒の提供を止めるようにとまで言い出していますが、何を根拠にそんな妄言を吐くのでしょうか?

政府や東京都知事などの発言は、メッセージとして重いものであり、人々の心理や行動に大きく影響するのですから、きちんとしたエビデンスが示されなくてはならないはずです。

私たち国民は、そのことに疑問を持ち、エビデンスを示すよう、声を上げなくてはならないと強く思います。

「GO TO~」についても、政府は感染を助長したことを認めていませんが、感染者数の推移からすれば、その影響は明らかだし、前倒しで再開した宮城県の感染者数の増加という事実も、「GO TO~」が感染拡大を持たらした可能性が極めて高いことを裏付けています。

しかし、政府は、相変わらず、「GO TO政策」に執着しています。

最近も、奈良県では、「GO TO~」再開を決め、医療者からの反発を受け、慌てて取りやめたということがあり、奈良県が批判されましたが、「GO TO~」の再開については「GO TO~」を推進する政府側の組織があり(さらにいえば、その背後で甘い汁を吸おうとしている連中がいます)、そこからの働きかけがあるわけで、最も批判されるべきは、相変わらず「GO TO~」に執着する政府の姿勢であるべきです。

飲食店や集客施設を感染の巣みたいに取り上げて自粛要請のターゲットにしているのは、「GO TO利権」隠しのためのスケープゴートではないかとすら感じます。

もちろん、観光、旅行業界は大変です。

しかし、コロナ感染の終息が見えない状況で、大都市圏から地方への感染の広がりを助長する「「GO TO TRAVEL」も、飲食店への自粛要請と明らかに矛盾する「「GO TO EAT」も、それ自体、いびつな政策だし、依存を招くだけで、長い目で見れば逆効果になりかねない愚策に違いないと思うのです。

とにかく、「GO TO~」にせよ、飲食店などへの時短要請の協力金にせよ、国民の税金が使われています(本稿に直接関係はありませんが、オリンピックにも、リニア新幹線建設にもです)。

コロナ対策と称して、政権に近い人間や組織が甘い汁を吸っていると実態があるわけで、詰まるところは、私たちが汗水たらして働いている中で、国民から吸い上げられた税金の使い道に関することに、私たち国民が関心を持って声を上げなければ、国民の命や健康を守るための政治なんておよそ実現不可能に違いありません。

 

話を戻します。

前にも書きましたが、今の日本でコロナ感染が収まらず、だらだらと感染が続く主な理由を2つ挙げます。

1つ目は、ずっと指摘していますが、コロナの場合、無症状感染者と健常者の見分けがつかず、一見すると健康に見える無症状感染者が日常生活の中で他人と濃厚接触をし、感染を広めてしまうためです。

性風俗系の店に行けば当然感染は広まりますが、そうでなくても身近な人との濃厚接触もあります。

症状の発現時期と他者への感染が広がる時期が一致するインフルエンザとの違いは決定的に大きく、コロナ感染が容易に収まらない根本原因はここにあります。

2つ目は、これも前に指摘しましたが、大都市、特に東京圏(神奈川、千葉、埼玉の通勤圏を含む)では、すでに潜在的な感染者数がけた違いになっている状況に陥っていることです。

大都市圏で潜在的な感染者数がけた違いになっているということは、緊急事態宣言が発令されて多少感染者数が減っても、潜在的な感染の広がりが完全に抑えられない以上、他者との接触の機会が増えれば当然に感染も広がるという悪循環が繰り返されることを意味します。

つまり、1つ目のコロナの特質を理解した上で、2つ目の大都市圏の潜在的な感染者数の増大をいかにして抑え込むかという発想で対策を考えない限り、将来、コロナが弱毒化するか、真に有効なワクチンが国中に行き渡るまでは、いつまで経っても感染の終息は見込めないことになります。

なのに、今年1月の緊急事態宣言以降、東京圏では全体的に検査人数が減っているとの王道もありますが、表向きの感染者数を少なく見せたいという意図が見え隠れしていると感じます(オリンピックもあるし、感染者数が増えれば政権や自治体のトップが批判を浴び、選挙で不利になるということもあるのかもしれません)。

しかし、これは本末転倒というほかありません。

この点、コロナのことについて騒ぎすぎだと発言する人もいますが、その考え方も無責任で間違っていると思います。

何度も書きましたが、コロナの恐ろしさは、無意識のうちに感染者となり、他者に感染を広げ、油断すると、あっという間に爆発的な感染を引き起こし、さらに、基礎疾患を抱え、免疫機能の衰えている人を死に至らしめる疫病だということにあります。

自分は罹っても平気だとかという発想の人間は、他者に思いやりを持つ必要がないと言い放っているに等しい愚か者です(自分の身近な人がそのような目に遭った時、どう感じるのでしょうか)。

インドでは、たった3日で100万人を超える感染者が出たそうです。

イエメンでは墓を掘る人が足りないそうです。

コロナ感染が爆発的になるということはそういうことです。

いかにして潜在的な感染者を把握するかといえば検査の徹底しかないし、潜在的な感染者増加の状況で観戦を封じ込めるには、ロックダウンしかありません。

 

最後に言いたいのは、オリンピック利権だか、GO TO利権だか何だか知りませんが、自公政権が中途半端な政策でお茶を濁そうとしている内に、多くの国民が日に日に苦境に追い込まれている状況を何としても変えなくてはならないということです。

そのためには、真に国民のために働こうという気持ちを持ち、国民の痛みをわがこととして受け止める政治家が、勇気をもって党を超えて団結し、ドラスティックな発想の転換で、思い切った政策を打ち出してもらいたいと思いますし、今年行われる国政選挙では、私たち国民も、保身や目先の利益なんかではなく、大局的に国民のために汗をかいてくれる政治家を選んで投票すべきだと強く思います。

 

2021年05月01日 > トピックス, 日々雑感
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