事務所トピックス

日々雑感~救急搬送の顛末

弁護士 折本 和司

先日、胸の中心に向けて絞るような痛みが繰り返し訪れて、収まらなくなり、もしかしたら心筋梗塞かもしれないということで、生まれて2度目なのですが、救急車にお世話になりました。

病院では、問診の後、心電図、レントゲン、そして血液検査が実施され、そのまま救急センターのベッドで横になっていました。

その後しばらくして看護師さんが、「血液検査の結果が出ました」と医師に電話しているのが聞こえたのですが、待てど暮らせど医師は来ません。

そして、1時間近く経った頃でしょうか、医師がやって来たのですが、来るなり、「血液検査の結果、心筋梗塞ではありません」と淡々と説明を始めたのです。

こちらは、カテーテル検査をやることになるだろうとある程度覚悟をしていたので、それを聴いた瞬間は、ホッとしたというか、逆にちょっと拍子抜けした感じでした。

心筋損傷があると、心筋からCK(クレアチンキナーゼ)―MBという酵素が血中に流れ出るのと、トロポニン(i高感度)なんていう検査項目が、心筋損傷後短時間でも異常値となることを仕事柄知識として知っていたので、(ちょっと知ったかぶって)訊いてみましたが、「その両方を検査項目に加えて検査した結果なので、大丈夫」とのことでした。

 

ただ、医師は、心筋梗塞ではないと説明した後、「なので、帰って結構です」と言ったのです。

私は驚いて、「えっ?まだ胸痛が続いているんですが。原因は調べてもらえないんですか?」と尋ねたのですが、「それは、平日、別の病院に行ってください」とにべもなく言われたのです。

一瞬、タクシーを停めて「近いところまで乗せて」と言って、乗車拒否をされたような気分になり、呆然としてしまったのですが、医師の対応は変わらず、仕方なく、胸の痛みが収まらない中、病院を後にしました。

 

その日、胸の痛みは一向に治まりません。

激痛というほどではありませんが、胸の真ん中あたりでギューッと絞るような痛みが波状的に続き、特に仰向けになると痛みが強く、眠ることすらできません。

そこでいつもお世話になっている友人の医師に連絡をしたところ、翌朝病院に来るようにと言ってもらえました。

ほとんど眠れないまま、朝を迎え、ちょっと遠方なのですが、病院に行き、診察を受けたところ、胸痛の原因としては胃の方から来ている可能性もあるということで、胃カメラをやってみようという話になったのです。

実は、胃カメラは生まれて初めてだったのですが、結構、苦しいものですね。

それはともかく、胃カメラを入れてからしばらくして、胃カメラを操作する医師が、「胃は異常ありませんね」と診断結果を説明してくれたのです。

一瞬、ホッとしつつ、では胸痛の原因は一体何なのだろう?と思っていたら、引き続いて、胃カメラを操作する医師が、「でもアニサキスがいますので、取っときましょう」と言ったのです。

今年、アニサキスが多いというニュースは知っていましたが、まさか自分がそんな目に遭うとは思ってなかったので、びっくりです。

ところが、「取れました」と言った後に、さらに衝撃の一言が待っていました。

「食道にもいますので、取っときましょう」

「えっ?食道?まじ?」

 

そう。

胸痛の原因は、これだったのです。

食道の壁に食いついたアニサキス!

道理で胸の真ん中あたりが痛かったわけです。

そういえば、前の日の夜、居酒屋で刺身の盛り合わせを食べました。

その時食べた魚の身に潜んでいたわけです。

 

というわけで、周りの方々にもご心配をおかけしましたが、皆様もどうかお気を付けください。

アニサキス、恐るべし!です。

ちなみに、あとで友人の医師に報告をしたら、笑いながら、「俺はアニサキスが5匹いたこともあるよ」と笑っていました。

兵(ツワモノ)です!

2022年08月30日 > トピックス, 日々雑感

日々雑感~井上尚弥のボクシングが凄まじかったというお話

弁護士 折本 和司

ここのところ、書面や尋問の準備等に追われていますが、昨夜、作業の合間にアマゾンプライムを覗いたら、ちょうど井上尚弥とノニト・ドネアのバンタム級統一世界戦をやっていたので、久々にボクシングを観ました。そこで目にした井上尚弥のボクシングがあまりに凄まじかったので、ちょっと感想を書くことにしました。

 

かつてはボクシングの世界戦であれば、地上波で観戦できたのですが、アマゾンプライムで観戦とは時代の変化にも驚かされます。ただ、それよりもありがたかったのは、観たいところを何度でも戻して再生できることで、そのおかげで、井上尚弥の強さの秘密をタブレット画面上で何度も確認することができました。

 

私はボクシングはやりませんが、あしたのジョーをはじめ、ボクシング漫画は結構読みましたので、「うんちく」だけならそれなりに語れます。

というわけで、井上尚弥の強さと昨日のKO劇のポイントについてちょっと語ってみたいと思います。

 

まず、井上尚弥の強さの秘密ですが、並外れたスピードと、この階級ではあり得ないくらいのパワー、そして、中でも左のジャブと左のフックの破壊力の凄まじさについては、よく言われるところでしょう。

それが備わっている上でのことですが、何より驚いたのは、この厄介なスピードとパワーが備わった左からのパンチが連続で繰り出されることです。

しかも、それがジャブ、フックと多彩であり、またいろんな角度から飛んでくるわけですから、迎え撃つ方はたまったものではありません。

対戦相手のドネアも歴戦の勇士であり、同じく強烈な左フックを武器にしていますが、パンチの多彩さ、引き出しの多さでは明らかに井上尚弥の方が上回っている印象でした。

 

その引き出しの多さによって生み出されたのが、第1ラウンド終了間際の打ち下ろし気味に入った右ストレートでのダウンシーンです。

実況の解説の人たちも、一瞬のことで気づいていないのか、触れていませんが、アマゾンプライムで繰り返しスロー再生してみると、このダウンシーンは井上尚弥のスピードとパワーだけで決まったものではなく、その上に備わった多彩なテクニックによって生み出されたものだということがわかります。

実は、スローでよく見ると、この右ストレートの直前に放たれた左ジャブに続いて、その直後、井上尚弥の左拳がピクッと前に出ているのです。

そのため、ドネアは井上尚弥の左からのパンチに対応しかけます。

ところが、実際には左からではなく、右からのストレートパンチがドネアの顔面に入り、あっけなくダウンとなります。

つまり、このダウンは直接には右ストレートで奪ったものですが、それがあっさり決まったのは、左ジャブに引き続く左の絶妙なフェイントが効いているのです。

ここで主導権を握った井上尚弥は、続くラウンドで多彩な猛攻を仕掛け、最後は左フックで2度目のダウンを奪い、勝利するのですが、これだけのスピードとパワーの上に、左の使い方のうまさ、多彩さが備わっているのですから、そりゃ、強いわけです。

ホント、芸術的といってもいいですね。

 

あと、試合後のインタビューでも、ドネアに対する敬意を繰り返し述べており、非常に好感の持てるボクサーだと感じました。

これから上の階級に上がって、新たな挑戦をするようですが、精進を重ねて、ぜひ夢を実現してもらいたいと思いました。

2022年06月08日 > トピックス, 日々雑感

Stop the war! 

葵法律事務所

葵法律事務所の全員の思いでもありますので、このメッセージを発信させていただきます。

ロシアがウクライナへと侵略しました。
すでに双方に多数の死者が出ており、60万人以上のウクライナ人が避難を余儀なくされています。
断じて許されることではありません。
直ちにロシアの侵略行為を止めさせ、撤退させなくてはなりません。
一人一人が声を上げることが大切と考え、この記事を書くこととしました。

Stop the war!

このメッセージが世界に広まり、ウクライナに平和が訪れることを心から強く強く希望しています。

以下は、私(折本)個人が感じていること、思っていることを書いてみます。
そもそも、プーチン大統領は、なぜこのような何の大義も見出せない無謀な戦争行為を始めたのでしょうか?
そのことを考え始めた時、私は、高校時代に活動していたバンドで演奏したある曲のことを思い出しました。
それはビートルズの「Back in the USSR」という曲です。
この曲は、ポールマッカートニーが作ったものですが、その中にこんな歌詞があります。
Ukraine girls really knock me out
They leave the west behind
And Moscow girls make me sing and shout
Georgia‘s always on my mamamamamamama mind
正直言って解説するほどもない他愛ない歌詞なのですが、この前段部分では「ウクライナの女の子は最高だ。西側の子なんて目じゃない」と歌っています。
何が言いたいかというと、この曲が発表された1968年当時、ウクライナはソ連の一部だったということです。
ウクライナが独立したのは、ソ連崩壊後の1991年のことになります。

今回の侵略の動機についてはいろいろな分析がありますが、69歳になったプーチンが、かつてのソ連の領土を可能な限り取り戻したい、それが自身の集大成であり、後世に残る「偉業」を考えたのではないかという気がしています。 
この間、プーチンは、親露派を守るためだとか、NATOの進出を食い止めるためだとかいろいろと言っていましたが、どう見ても独立国に戦争を仕掛けることを正当化するには根拠薄弱です。
もちろん、単一の動機ということではないのかもしれませんが、やれば国際的に非難を浴びることは必至ともいえる状況で、あえてかつての同胞に対する戦争行為を始めた最も大きな動機は、「かつてのソ連の領土を取り戻したい」という、プーチンが取りつかれた妄想なのではないかと思うのです。

恐ろしいのは、絶対的な政治権力者の誕生を許し、その人間が長期にわたり権力を握り続ければ、そのような妄想に基づく暴走を止めることができなくなってしまうということです。
独裁的な政治体制を許してはならない、めんどくさくても民主主義的な仕組みを作って行かなくてはならない理由がまさにそこにあるのだと思います。
もちろん、民主主義的な仕組みを作っていても、ヒットラーは誕生したわけですし、いつのまにか独裁的な政治体制へと変質して行くこともあるわけですから、民主主義的な仕組みというものは、あれば安心というものでなく、それを不断に守り、育て続けて行くことが大切なのだと強く思います。

ほかにもこの問題について思っていることがありますが、それは「続き」で書きます。

2022年03月02日 > トピックス, 日々雑感

日々雑感~明日の総選挙の隠れテーマは「大増税」

弁護士 折本 和司

明日は、いよいよ総選挙の投票日です。

今回の総選挙は、本当は、長く続いた安倍政権、菅政権で取られて来た政策や、自民党、公明党などが何を目指して来たかに対する審判でなくてはならないと思います。

しかし、現実には、菅政権があまりにお粗末な対応を繰り返したため、これでは選挙は戦えないとして、直前になって党の顔が挿げ替えられ、その結果、本来、問われるべき安倍政権、菅政権下で何が起きて来たかが曖昧にされ、岸田政権が何をやろうとしているのかが良く見えないうちに、いきなり総選挙の日程がやって来てしまいました。

 

もちろん、トップが代わったわけですから、これまでとは違う政策が打ち出される可能性がないとまではいえませんが、もし、自公政権が続くとすると、今の権力体制で美味しい思いをした人たちが「利権に群がり続ける」という、固い岩盤のような構造が容易に揺らぐことは考えにくいところです。

そして、いったん、その体制が出来上がってしまえば、その体制は最大4年間続くことになります。

如何に選挙が民主的に行われても、ヒットラーのような独裁者は誕生しますし、日本もそれに近い集団的な独裁体制が構築されつつあると感じる人は、私だけではないと思いますが、今のいびつな権力構造が今後さらに4年も続けば、私たちが戦後営々と築いてきた公正なシステムまでもがことごとく破壊されてしまうのではないかという、強い危惧を感じます。

 

バブル崩壊後30年以上が経ちましたが、日本人の平均年収はほとんど増えておらず、消費者物価はデフレといいながら、その当時よりは高い水準にあります。

しかも、今は、国力低下を反映するような円安が進行しています。

日本人の実質的な所得は低下の一途をたどっているのです。

にもかかわらず、事項政権下では、所得の垂直的な再分配はまったく実現されず、それに逆行する政策が遂行されて、貧富の差は拡大するばかりです。

多くの労働者や地道に頑張っておられる中小企業の方々にとって、これ以上今の自公政権の体勢が続くことは、致命的になりかねません。

 

今回の選挙の報道や自公政権の人たちの発言を聞いていて、いろいろ違和感を覚えるのですが、中でも、彼らが、増税についてほとんど語らないことは、いかに選挙で増税のことを言えば不利な結果になるとしても無責任の極みです。

これまで、散々、財政の健全化のために消費税を上げる必要性があると言い続け、今回のコロナ対応でも、GOTO等、様々なバラマキ政策を実現し、おそらく天文学的な金を払って海外からワクチンを買い漁っています。

しかも、景気はコロナで落ち込み、税収も不安定な状況ですから、この選挙が終われば、遠からず、大増税の話が出て来るのはほぼ確実と思います。

もちろん、。増税の話については、野党側もしていませんし、そこを批判する人はいるでしょうが、国庫を預かり、これまで政策を遂行してきた与党こそが一義的な説明責任を負っているのです。

 

選挙が終わり、今の体制が維持されれば、コロナの状況にもよりますが、増税の話が間違いなく出て来るでしょう。

ただでさえ、多くの一般国民の生活は疲弊し、石油など、海外からの輸入品が値上がりする中で、逆進性のある消費税が安易に増税され、様々な税の控除の仕組みが撤廃されるなどすれば、貧富の差がさらに拡大することは必至です。

 

それを語らず、曖昧な希望を語るだけで、今度の選挙を乗り切ろうとする自公政権に対し、私たちは、想像力、洞察力を持って、投票に臨む必要があると思います。

同じ権力体制が長くこと自体が、権力の腐敗を招くということもありますので、未来を少しでも良い方向に変えたいのであれば、明日、必ず投票に行きましょう。

2021年10月30日 > トピックス, 日々雑感

日々雑感~名ばかり緊急事態宣言を繰り返す愚とデルタ株のまん延がもたらすもの

弁護士 折本 和司

またもや緊急事態宣言が発出(すでに出ていた東京は延長)されました。

そんな状況下でも、利権目当てのオリンピックは開催にこぎつけ、コロナの感染者数が急増する一方で浮世離れしたお祭り騒ぎが繰り広げられるという、例えていえば、戦争で敵が城に攻め込んできているのに、城内で宴を開いているような矛盾した状況が起きています。

今回の緊急事態宣言についても、政治家連中は、毎度おなじみの「最後の」というフレーズをくっつけていますが、もはやギャグでしかなく、小池都知事の「最後のステイホーム」という発言に対しては、ネット上で、「続・最後のステイホーム」「新・最後のステイホーム」「最後のステイホーム・ファイナル」「帰って来た最後のステイホーム」「最後のステイホーム・レオ」など、その発言を揶揄する大喜利が繰り広げられていました。

しかし、緊急事態宣言も、それとどこが違うのかもよくわからないまん延防止~もコロナ対策としてはあまりに姑息的で無意味であることはもはや明白なので、安倍政権、そして今の菅政権のコロナ対策がいかに役に立たない、税金の無駄遣いであるか、そして、本気でコロナ感染を終息させるために何をすべきかについて書いておこうと思います。

 

まず、今の、人が集まるような施設、店舗に時短営業や要請し、飲食店には酒類提供の自粛を求めておいて、その見返りで給付金を支給するという内容の緊急事態宣言は、コロナ感染の終息という目的に対しては何の役にも立たないし、税金の無駄遣いです。

確かに、緊急事態宣言が施行され、1か月もするといったんはコロナ感染者は減少するということがこれまでもありましたから、時短や酒類の提供の制限に一定の効果があるという見方もあると思います。

しかし、コロナの難しいところは、無症状感染者が感染を広めてしまうことで、中途半端な対策では、感染者の徹底した把握も、人の動きを止めることもできず、結局は、無自覚の無症状感染者がいる限り、あちこちでウイルスをばら撒き、感染が再拡大することが繰り返されることになるのです。

特に、今回の感染者数の急増は、主としてデルタ株によるものなので、これまでとは明らかにフェーズが異なります。

デルタ株の感染力は、これまでのコロナウイルスに比べて感染力がけた違いといわれているので(ある記事によると、従来のウイルスはせいぜい一人が2・5人程度の感染力であったのに対し、デルタ株は、一人が7~8人を感染させるほど強い感染力がある、つまりそれだけウイルス量が多いというのことのようです)、中途半端な対策ではおよそ効果が見込めません(ましてやオリンピックというお祭りを並行して実施しているわけですからなおさらです)。

デルタ株の脅威の凄まじさはデータの比較によっても明らかです。

今回の感染者数の急増は、東京が発火点となっています。

その後、東京周辺に広がっていますが、春に急増した大阪は東京ほど急増していません。

この違いはデルタ株の占める割合の差によるものといわれています。

東京の場合、感染者数の90%がデルタ株であるのに対し、大阪は60%にとどまっているからです。

もちろん、大阪でも今後デルタ株の比率が高くなると予想されますが、少なくとも、現時点までの感染者数の推移を見る限り、東京でデルタ株が先行して広がったことが、東京圏における感染者数の爆発的増大を招いていることは明らかです(そしてそれが地方に広がっているわけで、今回の感染拡大の発火点が「東京のデルタ株」であることは明らかでしょう)。

 

菅首相は、感染者数が急増していることに対して、「人流は抑えられている」と的外れな返しをしていましたが(「ではなぜ増えているのか」と追及しないマスコミもレベルが低いとしか言いようがないですが)、そういえる根拠が不明なこともさることながら、そもそも人流抑制は、コロナ感染を抑えるための手段の一つにすぎず、およそ答えになっていません。

十分に予期できたはずの、「感染力が強いデルタ株がまん延する可能性」も踏まえ、先手先手で対策を立てるのが為政者の仕事であり、利権オリンピックの実施や選挙のことで頭がいっぱいで、思考停止に陥っているというほかありません。

 

去年からずっと申し上げていることですが、この状況で、感染を抑え込むためには、検査の徹底か、一定期間の完全なロックダウンの実施しかありません(もちろん、この二つの政策は厳密には二者択一ではなく、医療体制の拡充や入国後の移動の制限、きちんとした補償などと組み合わせてセットで行われる必要があります)。

ロックダウンの実施について、政府は、わが国にはなじまないなどと意味不明なことを言っていますし、憲法を変えなければできないと、この機に乗じて憲法改正につなげようとするような論調もありますが、誤った考えです。

人権が公共の福祉の制限を受けることを明記した現憲法下でロックダウンの実施は十分に可能であり、にもかかわらず、ロックダウンが実施されず、名ばかりの緊急事態宣言で自粛を促すというお茶を濁すような対策しか実施されないのは、目先の経済を停止させたくないという思惑であるとか、ロックダウンが、憲法29条により、国民に対する経済的な補償を行うことを国が義務付けられるのを怖れてのことなのかもしれませんが、いずれにしても本末転倒です。

実際、緊急事態宣言でも、極めていびつな形で、一部の事業者に金がばら撒かれ続けており、にもかかわらず、その効果は限られていて、期間が終了してしばらく経つと感染が増大するということが繰り返され、現在の感染爆発につながっているわけですから、これまでにばら撒いた金は、結局のところどぶに捨てたに等しいと言っても過言ではありません。

しかも、だらだらと中途半端な政策が続くだけで、体力の乏しい事業者はバタバタと潰れ、生活の基盤を失い続けています(私の地元である横浜の関内あたりでも、長く続いてそれなりに繁盛していたような店すらも次々と閉店しており、それを目にするだけで胸が締め付けられるような気持になります)。

 

もちろん、海外でロックダウンを実施した国でも、その後感染者数が増えているという反論はあるでしょう。

しかし、まずは、今の感染状況をいったん沈静化する必要があります(後述する、陽性率からすると、東京圏では数十万人以上の検査未了の感染者がいてもおかしくはありませんし、その人たちが周囲にデルタ株をまき散らしていると考えれば、いかに危険な状況かは容易に想像できるはずです)。

その後は、検査の徹底と、医療体制の拡充、入国後の移動の制限などをセットで行えばよいのです。

なぜならば、今の感染状況を放置すると、感染者数はさらに増え続け、日本全国にデルタ株がまん延することが強く危惧されるからです。

実は、ここのところの陽性率は以前とは大きく異なり、跳ね上がっています。

東京では20%を超え、川崎ではなんと40%を超えています。

このことについて、先日、コロナ対応の最前線で懸命に闘っておられる医師から伺いましたが、この検査数と陽性率の関係については、WHOによれば、5%を超えるかどうかというのが感染をコントロールできているか否かの目安なのだそうです。

つまり、5%を超えなければ、感染増大が危惧されるという状況ではないけれど、5%を超えるということは、市中感染が進んでいることを示し、実際には、それよりも多くの感染者が存在していると見られるのだそうです。

その陽性率が5%を超えるどころか、20%、さらには40%となると、もはや、潜在的な感染者がうじゃうじゃいて、しかもそれが感染力の強いデルタ株ということになると、感染者数のさらなる爆発的増大のリスクはらに高まります(また、医師がおっしゃるには、この時期は、コロナと区別がつきにくい熱中症の患者も多いので、熱中症の患者が紛れ込んでいる中で20%を超える陽性率となっている状況は尋常ではないと感じているそうでした)。

 

菅政権は、コロナのリスクを矮小化しようと必死ですし、高齢者の感染者割合が低いことや死者数が少ないことを理由に、ワクチンの効果が出ているとして、ワクチンに神頼みのようにすがっていますが、起き得るリスクを幅広く想定して、最悪に備えるのが為政者の役目であり、こんな人たちにかじ取りを任せていいのかと強い憤りを感じます。

感染者数が増えても、ただちに重症者数が増えるわけではなく、重症者数が増えても、ただちに死者数が増えるわけではありませんが、要はタイムラグがあるだけで、このまま行けば、いずれ重症者数、死者数が跳ね上がって来ることは必至です。

ついでにいいますと、菅首相は、中等度は自宅でととんでもないことを言い放ち、その後、批判を浴びて、曖昧に撤回しましたが、とんでもない発言だと感じたのは、私だけではないでしょう。

先日お話を伺った医師からも「一定の症状が出ているコロナ患者に対しては、重症化しないように抗ウイルス効果が見込めるレムデシビルの投与等の治療が必要であり、そのためには入院が必須なのに、みすみす重症化させてしまうことになる。政府はコロナに対する医療のことを何もわかっていない」というお話があり、菅首相の発言には憤慨されていましたが、まさに棄民政策を採ると言い放ったに等しく、この人物は国民の命を守るために働く気がさらさらないのだということを改めて強く感じました(やるべきは、断じて患者の切り捨てなんかではなく、検査、医療体制の拡充であり、自宅以外で必要な医療を受けられるような体制作りのはずです)。

 

とにかく、中途半端な政策をだらだら続けても、コロナ感染の爆発的な拡大は防げません。

与野党の垣根を越えて、国民のために何をすべきかを真剣に考えようという人たちが力を合わせて、医療者など専門家の言葉に真摯に耳を傾けて、一刻も早く、コロナにきちんと立ち向かう政策を実施してもらいたいと、心から強く強く望んでいます。

 

2021年08月09日 > トピックス, 日々雑感
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