事務所トピックス
弁護士 折本 和司

西日本を中心に起きた今回の豪雨では、あまりに多くの方が亡くなったり行方不明になったり、住んでいた家を失うなどの大変な被害が出ました。

心からお見舞い申し上げるとともに、未だかなりの方が行方不明とのことですので、一人でも多くの方が救出され、また一日も早い生活再建が実現されることを心から願っております。

ところで、今回の豪雨被害では、特に広島における死者の数が非常に多くなっており、広島出身の私も地元の友人に連絡を取ったりしていますが、やはり大変な状況のようです。
さらに驚いたのは、日曜日頃には雨も上がっていたはずなのに、その2日後になって、突然、広島の府中町の小さな河川が氾濫したことです(ちなみに府中町は、広島市ではありませんが、町の周囲はすべて広島市であり、交通網も含め、むしろよく整備された町です)。
その川の氾濫の映像も見ましたが、恐怖を覚えるようなすさまじい勢いの茶色の水が川からあふれ出していました。
その原因は、上流での土砂崩れによって溜まった流木や土砂が土砂ダムを形成し、それが限界を超えてしまってあふれ出し、下流の橋げたのところでせき止められてしまったということのようですが、となると、府中町だけではなく、何処にでも起きそうなことだし、また、いったん形成された土砂ダムは、今後の少量の雨で決壊するということが起きる危険があります。
であれば、二次被害が起きないように、形成されてしまった土砂ダムから溜まった土砂を取り除く手立てを早急に取る必要があるのではないでしょうか。
特に、これから9月、10月までは台風のシーズンであり、もし台風が西日本を直撃すれば、追い討ちのように重大な被害が生じる危険は非常に高くなります。
ぜひ優先順位をあげて早急に取り組んでほしいと思います。

ところで、広島出身の私からすると、今回の豪雨の被害が広島市の周辺部で大きくなったことについては、かなりの部分、人災なのではないかという気が強くします。
事務所の同僚であり、弁護士会や日弁連で公害環境問題にずっと取り組んで来た宮澤弁護士からも、行き過ぎた宅地開発の影響があるのではないかとの指摘を受けました。
確かに、広島の平野部は、元々なだらかな山々に囲まれており、私が子供のころには、マツタケ狩りができていたりしたのですが、高度成長以降、開発が進み、マツタケ狩りもできなくなりましたし、郊外の田園地帯もどんどんと開発され、都市化が進んだという経緯があります。
ただ、広島は瀬戸内海に面していて、あまり台風の直撃を受けることもなく、大雨が降っても、今回のような重大な被害にまで至ったということは記憶になく、4年前の豪雨被害の時も、なぜ広島で?と驚いたくらいでした。
ニュース報道などを見ると、広島あたりは花崗岩が多く、「まさ土」というさらさらの土のせいで被害が拡大したのではないかという指摘もあるようですが、それにしても、これほどの大規模災害を目の当たりにすると、宮澤弁護士が言っているとおり、山の斜面を削って宅地化を進めて来た影響がかなり大きいのではないかという気がしてなりません。

前にちょっと調べたことがあるのですが、気象に関する気になる統計があります。
ここのところの日本の気候の顕著な傾向として、近海の水温が高くなっているということと、短時間に多量の雨が降る回数が以前に比べて非常に多くなっているということがあるそうです。
いずれも数値化されたものですので、一定の客観性はあると思いますが、この両者は関連しているように思えます。
つまり、日本近海の水温が高くなれば、水蒸気になる量も増えますから、必然、雨量が多くなるという結果に繋がるからです。
気象についてはまったくの素人ですので、専門的なことはわかりませんが、今回の豪雨も、日本の南海上からの水蒸気の供給量が膨大だったことが一因として挙げられているようです。
となると、もしこれからもこのような気象傾向が続くということになり、短時間のゲリラ豪雨が起きやすくなりますから、必然、山の斜面の崩落、土石流も起きやすくなるのではないでしょうか。

今回は、私の故郷である広島で起きたことですが、一時間の総雨量が100ミリを超える、いわゆるゲリラ豪雨は、日本全国でざらに起きていますし、山の斜面を切り崩しての開発だって日本全国で散々行われて来たことです。
実際、横浜あたりも、結構山あり谷ありの街で、相当な傾斜地に建っている家やマンションなんてごく普通に目にします。
ですので、横浜や東京のような人口密集地に今回のような豪雨が起きて鉄砲水が出たら、死者の数も桁違いな数字になっておかしくないように思います。
今回の広島や岡山などでの災害を花崗岩が多いことや「まさ土」が多いことがもたらしたなどといった分析は間違いではないのかもしれませんが、そうした捉え方は問題を矮小化してしまうのではないかという危惧を感じます。
今回の甚大な被害を無にしないためにも、あらためて、都市計画、防災計画、河川管理やダムの問題などを含めた治水計画をきちんと見直すべきだし、山を切り崩して宅地化、都市化を図るような開発にもストップをかけるべきだとと強く思います。

2018年07月16日 > トピックス, 日々雑感
葵法律事務所

横浜市内の大口病院で起きた、消毒液による死亡事故というより連続殺人事件で、遂にというか、やっと犯人と思しき女性が逮捕されました。
以前から噂されていた、病院に勤めていた看護師の犯行ということですが、非常に衝撃的なのは、その動機と、事件がどうやら2件にとどまらない様相を示しているということです。

報道によれば、犯行の動機は、自分が勤務している時間帯に患者が亡くなると遺族への説明が面倒だからということのようです。
もちろん、それだけが理由ではないのだと思いますが、少なくともそれが主要な動機であるとすればおぞましいの一語に尽きますし、そもそも、そんな人間が医療に携わっていること自体、あってはならないと思います。
医療事故を扱っていると、当然のことながら、事件関係者を含め、多くの医療関係者と接する機会があります。
そして、いつも感じることは、事故を起こした加害者でさえも、ほとんどの方は、患者のために一生懸命医療に取り組んでいるということです。
今回の事件の被疑者の行いは、そうした多くの医療者の日々の努力を台無しにする、あまりに愚かな振る舞いというほかありません。

実は、前に扱った事件で、深夜に容態が急変したという死亡事故で、看護師のミスが問題になったという症例があったのですが、調査の過程である看護師さんから、「どうしても深夜の容態悪化や死亡という場面に出くわすことはあるので、深夜勤をやる時は、自分が担当している時間帯に急変がないようにと祈るような気持になることがある」という心情を聞かされたことがあります。
私たち弁護士の仕事にもいえることで、気が重くなるような仕事、局面ということは一定程度避けられませんが、それも含めてやりがいの一部だと言い聞かせて取り組むしかないのだと思うのです。
それを受け止められない人は、その仕事には不向きなわけで、そうした仕事をやってはいけないとしか言いようがありません。
ちなみに、私が扱った深夜の死亡事故の件では、直接には看護師のミスによるものではあったのですが、調査の結果、根本的には、日勤の医師からの引継ぎが不十分だったことが問題だったことが判明し、看護師の名誉が一定程度回復されるという結果になりました。

ところで、今回の大口病院の事件では、もう一点、見逃せない問題があります。
報道によれば、捕まった元看護師は、消毒液を注射した症例が20件くらいあると供述しているそうですし、短期間にさらに多くの患者が死亡しているとの情報もあるようですが、これの案件の中に、本件の元看護師の犯行による死亡事故が多く含まれていたとすれば、それらの事故は、真相が明らかにされることなく、別の疾病で死亡したとして処理されている可能性があるからです。
実際、医療事故に接していると、事故直後から、医療側が真実を語らず、真相を曖昧にしようとするケースは決して少なくないと感じますが、大口病院の場合はどうだったのでしょうか?
今後の捜査や調査においては、患者さんが亡くなられた後の病院側の対応がどのようなものであったか、その過程があわせて明らかにされなくてはならないと思います。
どうしても事件そのものの異常性に目が行きがちですが、真相を知らされないまま、曖昧に処理されるということは、個々の被害者の救済を妨げるばかりか、事故の再発を防ぐための教訓にすることも難しくなり、医療の質や医療者のモラルを低下させることになりかねません。
民事、刑事などの様々なアプローチで、真相究明が図られなくてはならないと強く思います。

2018年07月10日 > トピックス
葵法律事務所

全国のレオパレスのアパートにおいて、天井裏の「界壁」という防火壁が設けられていないケースが相当な件数、存在することが判明しました。
共同住宅においては、この「界壁」がないと、建物の一部で火災が起きた場合、天井裏から一気に燃え広がる危険が高いとのことで、建築基準法上も違法となるとの指摘があります。
レオパレス側は、現時点では、「下請けに対する検査体制が十分でなかったため生じたものであり、意図的なものではなかった」と説明しているようですが、同種事例が全国各地で多数存在するということになれば、単なる検査ミスというレベルではなく、組織ぐるみの手抜き工事が強く疑われることになるかもしれません。

実は、かなり以前のことですが、レオパレスとの交渉案件を扱ったことがあり、今回のニュースでその件のことを思い出しました。
その件は、アパートのオーナーがアパートを建て替えるにつき、レオパレスから提示された長期にわたる家賃保証という条件に魅力を感じ、ある程度まで話が進んだ段階で、決める前に慎重に検討したいということで相談を受け、契約条件を検討したのですが、最終的には、オーナーはレオパレスと契約をしませんでした。
この時に、最初乗り気だったオーナーが契約をしないと決めた主な理由は、大きく分けて二つありました。
一点目は、家賃保証の期間に関することで、10年間の保証までは確定していたのですが、以後の保証内容については曖昧なところがあり、オーナー側が負担することになるローンなどの支出とのバランスがどうなるかがはっきりしないということでした。
二点目は、建設工事に関することで、建築工事はレオパレスの指定する業者に依頼しなくてはならず、しかも、建築費が普通に建築業者に依頼する場合に比べてかなり高額だということでした。
建築費が高ければ、ローンも多額なものとなりますし、当然、月額返済額も大きくなりますので、家賃収入が将来減少した場合の収支の不均衡のリスクはより高まります。
結局、この二つの不安、疑問が払しょくされないということで、そのケースでは、オーナーはレオパレスと契約しないという決断をしたのです。

今回明らかになった問題においても、上記のケースと同様、レオパレスの指定する業者により建築工事が実施されているのだとすれば、どのような工事が実施されるかについてはブラックボックスになってしまう危険が高くなります。
上記のケースを検討した時に思ったのは、実際に部屋が埋まるかどうか確実でない状況で長期の家賃保証を約束するというのはそれなりに大きなリスクですから、レオパレス側が、建築工事費用を高めに設定し、自分のところで指定する業者に施工させるという手法を組み込むことで利益を確保しておこうという、そういうビジネス手法なのだろうなということでした。
もちろん、そうした手法がだめということではありませんが、そのような手法を取るのであれば、オーナー側のチェックが及びにくいわけですから、なおさら、工事の手抜きなどあってはならないはずです。

先日、この問題を扱った「ガイアの夜明け」というテレビ番組を見たのですが、界壁がない建物については補修工事を行わなければなりませんし、その工事費は非常に高額なものとなることは避けられないようです。
もちろん、住んでいる人にとっても、防火用の界壁があるか否かは命に関わりかねないわけですから、補修工事については、一刻の猶予も許されません。
ただ、実際の工事となると、居住者にいったんは立ち退いてもらわなければならず、また、この問題の影響で新規入居の見込みも厳しくなることが想定されます。
同番組でもそのような指摘がありました。
そう考えていくと、今回の手抜き工事の問題は、オーナーにとっても、今後の展開によっては死活問題になりかねません。
そうである以上、オーナーや居住者が不利益を受けないよう、レオパレス側が誠意をもって対応しなくてはならない重大な責任を負っていることはいうまでもないでしょう。

たまたま、最近、不動産関係の人と話した時に、今の日本は、金利が低く、老後の所得保証、医療や福祉のインフラが貧弱で、多くの人が老後に不安を抱えていることもあって、アパートのような収益物件に関心を持つ人が増えているという状況について懸念があるという話になりました。
というのは、すでに少子高齢化社会となっている日本では、近い将来の人口減少が見込まれているわけで、そのような状況で、多額のローンを背負いながらアパートを建てて賃料収入を得ようとする手法は、資産運用として必ずしも有効とは限らないし、下手をすると営々と築き上げた資産を失うことにもなりかねないからです。
アパートに限らず、資産運用について働きかけて来る業者や金融機関の説明を鵜呑みにするのではなく、弁護士や税理士などに相談するなどして、くれぐれも慎重に検討されるべきです。
このお話は、同じく、「ガイアの夜明け」で取り上げられた「かぼちゃの馬車」のお話にもつながるところがありますので、そちらの方もいずれ取り上げたいと考えています。

2018年06月04日 > トピックス, 日々雑感
葵法律事務所

前に一度ここで取り上げた任意後見契約についてですが、超高齢化社会の現状を反映してか、高齢者の方やそのご家族からの別件のご依頼を受けていても、そこから任意後見契約の手続の相談に移行するケースが増えているように感じます。
任意後見契約の意義やそのやり方については昨年アップした記事をお読みいただければと思うのですが、そもそも、任意後見契約はすべての方に必要ということではありません。
一方で、個別のご事情を伺ってみると、明らかに任意後見契約を締結しておいた方がいい、あるいはそうしておけばよかったという場合もありますので、そのあたりの判断の分かれ目についてちょっと整理して述べておきたいと思います。

たとえば、一人っ子で、すでに両親の内のお一人が亡くなられていて、さらに親子関係が良好というような場合には、任意後見契約を締結する必要はないといっていいでしょう。
後見が必要な状況になった時に、お子さんが成年後見人選任の申し立てをし、ご自身を成年後見人に推薦すれば、よほど問題がない限りそのとおり選任されるはずだからです。
また、推定相続人、つまり、将来相続が発生した時に法定相続人となるはずの人が複数いるとしても、その関係が極めて良好で、誰が後見人になるかについて争いが起きないことが確実な場合には、同様に、あえて任意後見契約を締結する必要がないといえます。

逆に、推定相続人同士の関係が悪い、あるいは微妙で、誰を後見人にするかにつき、将来争いが起きる確率が相当程度ありそうな場合には、療養監護や財産管理を任せたい人をあらかじめ指名しておく必要性が高いといえますので、任意後見契約を締結しておいた方がいいといえます。
これは、裁判所における後見人選任の際に、手続上、推定相続人の同意を得ておく必要があるため、推定相続人間の関係が悪いと同意が得られないこともあるからなのですが、それゆえ、たとえば、推定相続人の内に音信不通の人がいるというような場合も、やはり任意後見契約を締結しておくことに意味があります。
あと、推定相続人の中に、自身の将来の療養監護や財産管理を任せたい人がおらず、それ以外の親戚や友人に任せたいというような場合も任意後見契約は有用です。
このようなケースは当事務所で扱ったことがあるのですが、その方は高血圧の持病があって、任意後見契約を締結してしばらくして倒れられ、要後見状態となりました。
しかし、その方は、推定相続人ではないけれど、信頼を寄せている方に後見人になってもらうということであらかじめ任意後見契約を締結していたので、その方にずっと身の回りの世話をしてもらい、その後も安心して暮らされ、天寿を全うされました。
まさに「遠くの親戚よりも近くの他人」というわけですが、穏やかに老後を過ごすために任意後見制度が有効に機能したケースといえるでしょう。

もちろん、将来の財産管理や療養監護を誰に任すべきかの判断を誤ると、かえってあとあとで大きなトラブルとなることもありますし、そのあたりの判断力が知らず知らずの内に衰えてしまっているということもあり得ます。
実際、最近でも、任意後見契約の制度を悪用しているのではないかと思えるような事例もありましたので、誰との間で任意後見契約を締結するかの判断については軽々になさらないで、やはり弁護士などの第三者に相談する慎重さも必要だと思います。

以上、参考にしていただければ幸いです。

2018年05月13日 > トピックス, 事件日記
葵法律事務所

またもや大腸癌絡みの医療事故のお話です。

ある年配の男性が腹痛を訴え、「急性腹症」ということで、とある総合病院に入院します。
まだ若い消化器内科の医師が担当医となったのですが、その医師は、腹部超音波検査を実施した上で尿管結石の診断を下します。
結論から言うと、これは誤診で、実際には大腸癌由来の腸閉塞(イレウス)だったのですが、この誤診はその後の治療方針に重大な影響を与えることになりました。
というのは、尿管結石の場合、消化管は関係ないですから、食事摂取もOKだし、水分に関してはむしろ積極的に多く摂るようにとの指示が出たのです。
しかし、実際には、大腸癌由来のイレウス、つまり、腸管の通過障害が起きているわけですから、そこに摂取した食物や水がどんどん入り込んで来れば、腸管がさらに拡張し、イレウスは悪化することになります。
もちろん、大腸癌由来のイレウスの場合は、癌が腸管を塞いでいるので、保存療法ではなく、癌の切除を行わなければ、腸管の通過障害は解除されないことはいうまでもありません。

とにかく、腸管の減圧が必要な状況であるにもかかわらず、絶食、絶水をしなかったことで腹痛が増強したため、患者の男性は我慢できなくなって、担当医に対し、「尿管結石なんかじゃない。痛いのはお腹だからちゃんと調べてくれ」と訴えたのです。
しかし、その医師が患者の訴えを聞き入れません。
そして、さらに患者の言いように腹を立てたのか、医師は、腕まくりをしながら、「あなたは医者のいうことが聞けないのか。ならば、さっさと退院してくれ」と言い放つのです。
その時は、そばにいた家族や看護師がいったん取りなしてその場を収めますが、患者本人は、痛み止めは効かないし、お腹が張って苦しいこともあって、結局、「こんなところにいたら殺される」と看護師に言い残して勝手に退院したのです。
患者は、その足で隣の市の病院に行き、検査を依頼します。
その病院でレントゲン検査をしてみたところ、明らかなイレウス所見があり、さらに注腸造影検査を実施したところ、大腸癌があることが判明します。
つまり、患者の腹痛の原因は、尿管結石などではなく、大腸癌によるイレウスだったわけで、前の病院の医師の診断が完全な誤診だったことが明らかとなったのです。

この誤診の非常にまずいところは、尿管結石は食事摂取が問題ないばかりか、水分に至っては積極的に摂っていいという方針になるわけで、腸管減圧のため、絶食、絶水が必要となるイレウスの場合とは治療方針が真逆になるという点です。
このように、急性腹症で来院した患者につき、時に的外れな診断を行い、それに固執して、誤った診療方針を立て、適切な治療の機会を失するという事例には時折り出くわすのですが、まさに本件は、急性腹症患者に対し、安易に決めつけるのではなく、慎重に鑑別診断を行うことがいかに大切かを示す典型例といえます。
イレウスでは、立位のレントゲンを見れば、ほとんどの場合、ニボー(鏡面像)という半楕円形のようなガス像が確認できます。
それが大腸癌によるものか、癒着など別の原因によるものかの鑑別についてはさらに大腸内視鏡や注腸造影検査といった検査が必要となりますが、絶食、絶水が必要か否かの判断はこのレントゲン検査の時点でつけられるわけです。
また、本件で、次の病院で実施された注腸造影検査では、アップルコア(リンゴの芯)サインと呼ばれる、進行大腸癌でよく見られる典型的な画像が造影されています。
ちなみに、あとで、この腕まくりをした医師が尿管結石と診断したエコー検査画像を専門医に見てもらいましたが、尿管結石らしき所見はまったく見当たらないとのことでした。

医療過誤を扱っていて常々思うことなのですが、命や健康に関わる医師という仕事は、本当に大変だし、尊敬されるべき職業であることは間違いありません。
しかし、それだけに、とりわけ患者と向き合う臨床現場においては、慎重さと勤勉さ、医学や患者の訴えに対する謙虚さ、途中で診断や方針を見直す柔軟さといった様々なものが求められる、そういう重い仕事なのだと、つくづくそう思うのです。

2018年05月05日 > トピックス, 医療事件日記
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